こんなにある 瞑想の種類

いろいろな瞑想方法

 グーグルやアップルなどの米IT企業が取り入れたのをきっかけに、日本においても瞑想に興味を持つ人が増えてきました。瞑想というと座禅を組んで、無になるというイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、ひとくくりに瞑想といってもその方法や目的はさまざまです。座る瞑想、歩く瞑想、蝋燭を見つめる瞑想など、さまざまな瞑想がありますのでご紹介していきます。

 伝統的な瞑想方法は大きくわける「サマタ瞑想」と、「ヴィパッサナー瞑想」の2つに別れます。

 「サマタ瞑想」は「集中の瞑想」、「止行の瞑想」とも言われ、対象となるものに意識を集中させます。対象となるものはろうそくなどの目に見えるものもありますが、マントラ(真言)や、自分の呼吸などさまざまです。一点に集中することによって、他のものが気にならなくなります。

 「ヴィパッサナー瞑想」は「気づきの瞑想」、「観行の瞑想」とも言われ、対象を定めずに、感じたことをありのままに観察していく瞑想です。起こっている変化を客観的にとらえることによって、それに心が奪われなくなります。

瞑想の効果

 「サマタ瞑想」を行うことで主に集中力を高めることができます。「ヴィパッサナー瞑想」では心がネガティブなことに反応しにくくなります。その他にも両方に共通して、心身ともにリラックスでき、寝付きもよくなり体がよく休まるようになります。

 1日10分でも時間をとれば、1日の時間がより有意義になります。

サマタ瞑想の方法

 サマタ瞑想は集中する対象が40種類定められていますが、一般的に取り入れやすいものを3つご紹介します。座り方は蓮華座のできる方は蓮華座、苦しい場合はあぐらでも構いませんが、背筋を伸ばして坐骨から頭頂部までお一直線にする必要があります。呼吸は腹式呼吸を行います。鼻から吸って、鼻から吐くという呼吸が一般的です。

①呼吸の瞑想

 自分の呼吸に意識を集中する瞑想です。鼻から吸う息に集中したり、お腹が膨らむことに意識を集中したりと、意識を向ける場所はさまざまですが、どれか一つに集中します。

②トラタック瞑想

 トラタック・トラタカとはサンスクリット語で凝視するという意味があり、一点を集中して見る瞑想です。見る対象は、集中できるものであれば何でもいいのですが、ろうそくを使うことが多いです。

 ろうそくの炎の色や輝き、ゆらぎなどに集中することで、それ以外のことを考えない状態となります。

③マントラ瞑想(ジャパ瞑想)

 マントラとは真言のことで、サンスクリット語で書かれた神の言葉です。ヨガの初めなどに唱える「オーム」という言葉もマントラの一つです。「オーム」はA、U、M、の3つの音でできており、始まりから終わりまでを表しています。

 マントラ瞑想ではジャパ・マーラーという長い数珠を使って108回の数を数えるという方法があります。

ヴィパッサナー瞑想の方法

 バーリ語で「ヴィ」(あるがままに、明確に)、「パッサナー」(見る、観察する)という言葉から生まれ、「あるがままに見る」という意味になります。2500年前にお釈迦さまはヴィパッサナー瞑想を行い、解脱にいたったと言われています。そして、弟子たちにも伝えていきました。

 サマタ瞑想とは違い、一つに集中するわけではなく、感じるいろいろなことに順番に注意を向けていきます。

 ④歩く瞑想

 歩いている人を見て、瞑想しているとは思いませんが、ヴィパッサナー瞑想では最初は歩くという動作を行いながら瞑想を行います。観察をし、その変化を感じていくのですが、心の変化というものを客観的に見るのは最初は難しくても、体が動くことによって感じる変化はわかりやすいので、歩いて体を動かすことから始めます。

 右足が動いた、左足が動いたという感覚を、心の中で言語にしていきます。動いたと気づくこと、そしてそれを言語化する「ラベリング」がヴィパッサナー瞑想の基本になります。

⑤座る瞑想

 サマタ瞑想でも座って行うので、見た目は同じなのですが、中身は違います。サマタ瞑想では呼吸に集中する時は、他のことが浮かんできた場合はそれを振り払って呼吸へ集中します。一方、ヴィパッサナー瞑想の座る瞑想では、中心対象として呼吸を定めた場合でも、他の考えが浮かんできた場合は、浮かんできたんだなということを良い悪いと判断することなく客観的に観察します。そして、もう一度呼吸に意識を戻していくという方法をとります。